先日、女性スポーツ研究センター主催の「女性アスリートヘルスサポートセミナー2020」に参加してきました!
スポーツ医学センターセンター長の松田先生や、順天堂大学の教授・バレーボール女子日本代表のストレングスコーチの柴田先生や、耳鼻咽頭の井下先生、日本スポーツ栄養学会理事の鈴木先生などトップアスリートを第一線でサポートしている豪華な先生陣がお話してくださいました。
聞いているだけでは身にならない!!!
ということで、今回の参加して得た情報をまとめてブログにしていきたいと思います。
Contents
除脂肪体重(LBM)を増やせば身長が伸びる!
まずはスポーツ医学センターセンター長の松田先生のお話です。
女性アスリート三主徴とは
まずは基本的なところからですが、女性アスリートの三主徴FATをご存知ですか?
FATとは、Female Athlete Triad の略です。女性スポーツ研究センターでは下記のように説明しています。
トレーニングの量や質が高まったにも関わらず、バランスの良い食事を摂らなかった場合、「利用できるエネルギー不足」になり、このことにより月経があまりなかったり、または完全に止まってしまう「視床下部性無月経」に陥ります。すると疲労骨折や人体の損傷、怪我の治りが悪い等の症状を引き起こし、将来的に「骨粗鬆症」へとつながってしまいます。これらを”女性アスリートの3主徴(FAT)”といいます。
引用:女性スポーツ研究センターFATスクリーニングシート https://www.juntendo.ac.jp/athletes/fatscreening/download.html
このFATの現状ですが、なんと日本の中高生アスリートの81.1%が危険性を有しているそうなのです。
スポーツをしていると月経が始まるのが遅れる子供たちが多いということもあります。
松田先生曰く、月経がはじまらないからといって女性ホルモンが低いわけではないということ。
高校生になって競技に身長などが必要で背が伸びませんなどという選手も多いそうですが、それは根本的なところからみると高校生からの食事などでの問題ではないそうです。児童からの身体や食事状況をみていかなければならないということです。
成長期と骨の関係について下記のポイントにまとめました。
✓成長スパートの女性の平均は11歳で、11歳まで体重増加などの成長ピークがあると骨折などが減る
✓成長スパートがないと栄養が足りなくなってしまう
✓骨は成長スパートとともに強くなる
身体は本棚のよう。本(筋肉など)が増えていくならその分本棚も強くしていかなければならない。いつまでも木の本棚ではだめでスチールや鉄の本棚にしていく必要があるということです。
身長とホルモンについて
身長の成長は、男子は伸び続けますが女子は止まる方が多いです。
なぜでしょうか?
月経がはじまると急激に身長増加率が低下するということがわかっています。
メカニズムとして、背が伸びるときは骨端線(成長期の骨の端にある成長軟骨)がのびます。この骨端線が閉鎖して身長の伸びがなくなる際に女性ホルモンが関与しているのです。
IGF-I(インスリン様成長因子)がたくさんでると骨端線がのび、そのIGF-Iを促進するのは男性ホルモンです。
そして女性ホルモンはIGF-Iを抑制するので月経がはじまると身長の増加率が低下してしまうのです。
しかし、体脂肪の増加ピークで初経ははじまるので、成長ピークの前に体脂肪が増えると初経が始まるということです。
成長ピークを計測することにより見極めて食事量も考えていきたいですね。
中々体脂肪が増えることの少ないアスリートは、だから初経が遅れる選手が多いのです。
LBM(除脂肪体重)の重要性について
LBM(除脂肪体重)とは、簡単に言うと体重ー脂肪のことです。
または、LBM=筋肉+骨+内臓臓器+血液 ということです。
LBMが増えてその重さに耐えるよう骨が強くなるものなので、まずはLBMに注目すべきなのです。
体重なんて書いている国は日本くらいで各国のアスリートの指標などでもたいていLBMがかいてあるとのこと。
体はおふろのようで、お風呂の水を36.5℃で保つとして、バスダブ(身体)の大きさが多くなるとその分入っている水も増えますね。
しかしそのお風呂の水も36.5℃に保つために身体を燃やしていきます。つまり、身体の基礎代謝が高くなるということです。
基礎代謝量=28.5×LBM kcal/日で求めることができます。
つまり体重ではなくてLBMでみなければならないのです!
アスリートの女性はLBMが増える時期がある(15~16歳くらい)のでそのときや成長ピークに備えて栄養を蓄えておきたいですね。
除脂肪体重(LBM)でトップアスリートをマネジメントする
アスリートの体格指数としてLBMが一番!
LBMの増加⇔身長の伸びは相関しているとのことです。
LBMが+0.5kgになると、身長も+1cmになる。
そのためには、適度な運動・十分な食事・質の良い睡眠の3本の柱が必須になります。
LBMの低下はつまり、低身長・貧血・無月経・疲労骨折などのリスクを伴うのでやはり3柱を整えてLBMを高めていきましょう!
女子バレーボール選手での対応事例
バレーボール女子日本代表柴田トレーナーの講演です。
選手に問いかけているという質問がこちらです。
「今は世界でも2mを普通に超えてくる。その身長差があるときに何で補えるでしょうか?」
それが、筋肉です。
「筋肉がつくとなにがあがるでしょうか?」
パワーとスタミナがあがります。
バレーボールの試合はラウンドがあがっていくごとに強くなっていき、スタミナももちろん同時に必要になってくるのです。
ちなみに、各国代表選手の身長の平均がこちら。
日本176cm・セルビア186.6cm・イタリア184cm・中国187.2cm
世界でみるとかなり日本の身長は低いですね・・・!
この身長差をどう埋めるか?
海外上位国選手の体格>日本人選手の体格なので、
→瞬時に最大パワーを発揮しなければならない
→パワー発揮のための基礎である最大筋力の向上が必須
つまりLBMの向上が必要不可欠だということです。
最後に、柴田トレーナーが大切にしていること。
選手もそれぞれ。トレーニングも食事も個別化を徹底!
これはかなり同感です。トレーニングも栄養もオーダーメイドです。
アスリートと睡眠について
耳鼻咽頭科医の井下先生の講演です。
寝る子は育つ
これ、本当に正しいのは、
「たくさん寝る子が育つ」ではなく、
睡眠の質がよいこが育つ+鼻で呼吸できているこが育つ
です。
ノンレム睡眠とレム睡眠というのがあり、
寝始めの90分が特に大事!ということです。
詳しくはわたしも以前睡眠について詳しく書いたのでそちらの記事を御覧ください↓
女性の睡眠については、月経そのものが睡眠の質を下げていて、月経時に睡眠の量と質が低下・入眠も困難になっている可能性もあるということです。
アスリートと月経の関係は本当に密接ですね。。。!
パフォーマンスを栄養でマネジメントする
日本スポーツ栄養学会理事の鈴木先生の講演です。
スポーツ栄養とは、
目の前にいる対象者に合わせたものに併せたエビデンスをその人にあわせてアレンジした栄養管理が必要である。
7月のオリンピックで使われる筋肉は3ヶ月後であるので、
細胞レベルで勝つためにはその人に合わせて3〜4ヶ月のコンディショニング調整が必要。
細胞レベルで勝つっていい言葉ですね・・・!
先生がお話されている中で、食べ物の嗜好の好き嫌いを言う選手がいたら、
「口の嗜好の問題とかではなくて、わたしは口のその下の消化器官などの身体とはなしているんです」
とおっしゃるそうです。勝つためには確かに必要なことだなと痛感・・・!
現状と未来への展望
よくある選手の親御さんからのお声で、
「はやく寝かせたいけど練習があるからできない!」ということ。
「今しか大きくならないから一度やめてみたら?記録さえでればもう一回はいれる。今しか大きくなれないんですよ!」
と先生は話します。
体操の世界では、食べたいのはわかるけど絶対その時期に食べさせないっていうのが常識になっているそうです。
また、野球の世界では、現高校野球部コーチは昔食べて立派になってきた人たちなので、食べないやつはやめてけみたいな風潮になってしまってることが多い現状です。
日本には我慢の美学が根付いてしまいってるので中々これらの風潮から抜け出せていません・・・
身体に無理なことをしても無理なものは無理
食べることが我慢になるのは良くない。我慢の恩賞として食事が使われてしまっているのが現状。
適正量を食べて育っていく時代にはやく変えていきたいですね。
まとめはこれでおしまいです!ここまでご覧になりありがとうございました!
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